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なぜ歯科医によりいうことが違うのか2
前回は主に、診断とそれに関わる歯科医の頭の中の歯科学の質と量の差によるという話をしました。
今回は、もう2点の要素を上げたいと思います。
重要な一点は、歯科医の「診療哲学」です。
たとえば 金儲けを第一に考えて仕事をしている歯科医の場合は、診療報酬の上がるようなシステムを第一に考えて診療します。具体的には、時間もかかり保険診療点数の低い根管治療などには極力時間を省いて、自費の修復物や被せもの、入れ歯、インプラント、矯正を強く勧めてきます。患者さんとしては想像していなかったような大掛かりな治療プランを提示してくる場合もあるでしょう。
単価を上げて かつ、時間を短縮していけば儲かりますから。
たとえば、歯を一本抜かなければならないとします。その歯の前後両隣の歯は被せものが入っているとします。歯科医が一番もうかるのは、抜いた歯の跡にはインプラントを入れて、かつ前後の両隣の歯の冠も自費でやり変える方法です。どういうことかというと、抜歯後にインプラントをすぐ入れるよりは通常は4カ月待ちますからその間に歯がない状況が生じるので前後の被せものを撤去させてもらい仮歯ブリッジを入れます。これでインプラントをしてかつ冠もやりかえて終了したとします。
インプラント+2本の被せもの という治療費用を請求できます。
しかしこのように、前後の歯が被せてありかつ歯根の状態が健全であればブリッジという選択があります。インプラントは不要になります。治療期間も短縮されます。
両隣の歯が被せている治療歯ならばブリッジを行うのがもっとも最小限の治療です。
インプラントもして冠もやりかえるのは、過剰治療介入の可能性があるのです。
もちろん冠が入っていても、不適合だったり、虫歯があったりなど、治療適応の場合もあるでしょう。
ただ一般に必要最小限度の治療でいえばブリッジでいけます。
ブリッジは天然歯に咬合負担が重くかかるのでインプラントが最善という考えがあります。
それであればインプラントだけをして冠は現状のものを生かせばよいのです。
仮の入れ歯を一時的に使用する方法もありますし暫間固定という方法もあります。
いずれも歯科医院の経営的にはもうからない治療にはなります。
インプラント専門医 根管治療の専門医 歯周病の専門医 クラウンブリッジの専門医、入れ歯の専門医 矯正の専門医
など歯科の治療分野でも分野が分かれており、どの領域の治療分野が強いのか 歯科医師により異なります。
非常によくあるのが、根管治療はあまり研修しておらず、インプラントを専門的に研修している歯科医です。この風潮が近年多く見られます。背景には経済事情があります。
その実態を如実に表していることがあります。インプラント学会は大盛況で会員数は拡大中です。根管治療の学会・・・歯内療法学会は閑古鳥・・・ とはいいませんがインプラント学会と同日開催などしようものならその差は呆れるほどです。歯を残す治療で最後の砦となるのが根管治療なのですが・・いかんせん診療報酬はインプラントとは比べるまでもありません。
インプラントを専門に研修しており根管治療にあまり熱心でない歯科医は、根管治療の可能性・意義をあまり重視しておらず、臼歯部で再感染などのケースでは、「治療してもまた悪くなるから抜歯してインプラントが最善である」と説明するかもしれません。
一方根管治療をしっかり研修した歯科医は残す努力をやるだけやってからインプラントを考えても遅くないというスタンスのことが多いです。
要するに 歯科医によっていうことまちまちという現象については、
① その歯科医が何を中心に学んできているのか、
② 診療哲学はどうか(商売と割り切って仕事をしているのか、普遍的な歯科医療の使命感を持って仕事をしているのか)
③ その歯科医の診断能力はどうか(診査診断の時間を十分にとっているのか、3分間診療なのか)
などの要素で説明がつきやすいということになります。
医療法人について:
自分などの零細個人開業医にいわせると たとえば都内に何件も診療所をもつ医療法人などは非常に迷惑に感じます。基本的に分院を増やす歯科医というのは不労所得を増やしたいだけです。要するにビジネスで歯科医療をやっているのです。
歯科医療に徹する歯科医は自分の目の届く範囲以上に医院を拡大しません。
責任とれませんし歯科医一人の目が届く範囲に限界があるからです。
なので分院展開する法人の理事長は患者さんを自分で診療して責任をもつことは考えていません。替診の優秀な歯科医にがんばってもらって自分は働かないで収入を増やしたいのです。
本当に医療に徹して分院展開するのならば、2件目は過疎でも歯科医院が必要な伊豆諸島なの島とかに採算度外視で出すはずです。それができるのは1件目のもうけが大きいからその2件目のマイナスを穴埋めしてやっていけるでしょう。
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