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神経をとりたくない方へ

立川市の徒歩1分の歯医者「工藤歯科」です。
神経をとりたくない方へ。歯の神経(歯髄)を残す治療の可能性とその条件について詳しく解説。マイクロスコープを活用した診査や、神経を残せる症例・残せない症例を歯科医師目線でわかりやすく説明します。

 

神経をとりたくないんです。なんとか神経を残す治療はできないですか?

という患者さんが多く訪れます。

信じてもらえるか ですが、歯科医師は誰でも基本 残せるものは残したいと考えています。

虫歯が進行した歯の神経 歯髄 はどの状態なら残す治療が試せるか?

その基準はある程度学会などでも明らかになっていますが、あくまで残せる歯髄とは、組織として健康な状態である というのが前提です。

進行した虫歯の中で健康歯髄でいられるかどうか、は患者さんの年齢もかなり重要なファクターです。

健康な歯髄 = 血液循環があって、所定の機能を果たしている歯髄 であり、

一方、

組織として病的な歯髄 = 感染あるいは外傷により、歯髄の血液循環は部分的あるいは全部喪失し、組織として全部あるいは部分的に壊死しており、所定の機能不全をきたし、すでに感染源、非自己に陥った歯髄、です。

進行した虫歯でも、神経を取らないで 残して欲しい と言う時、実は「組織として健康な」歯髄 歯の神経を残したい と言ってるのです。

 神経という言葉の前に暗黙に「病的でない」あるいは「健康な」という言葉は隠されています。歯科医師はそこを患者さんに説明し共通の理解になっておく必要があります。

したがって問題は、その歯の神経は健康なのか?ということです。

残した歯髄が壊死していたり、感染源となっていた場合、残したことが、次の一段悪化した疾患=根尖病変の原因となってしまいます。

ただいわゆるレントゲンで根尖部に黒い影(透過像)がある=歯髄は壊死?=歯髄は取る?

必ずしもそうではありません。若年者ほど残せる場合はあると思います。

当院では所定の検査後、治療介入前に「なるべく残す努力はしますが、それは実際に削って歯髄の状態を確認してみての判断 になります。出血がないなら残念ながら取るしかありませんよ」

と説明し治療を開始しますが、多くの場合すでに歯髄には血行がなく壊死してることが多いです。

マイクロスコープで出血がない状態を写真に残し治療後に説明しています。

結論としては、

残せるチャンスのある歯髄は

・外傷 ぶつけたとかで歯が欠け かつ急性の場合

・治療前に痛み症状がない 治療で歯髄に達していた場合

・若年者

一方、残すことが無理そうな歯髄は

・治療前に程度の差はあれ、なんらかの痛みがある虫歯

・痛み関係なく、虫歯の範囲 歯冠半分以上や残根の虫歯

・以前深い虫歯の治療をしていた歯が痛みが出てきた

です。

世界の根管治療の専門医費用は20~30万円です。

そのくらい価値のある治療なのであり、歯髄は不幸にして失ったとしても、まだその歯を諦めることはありません。良い根管治療であれば、一生問題起こさず健全歯と変わらず咀嚼機能を果たしうるものです。1本根管治療となったとしても、次にまた他の歯が根管治療など必要になることのないように、定期メンテナンスに歯科リコール受診されることを推奨いたします

工藤歯科